昔の道、今の道

(この写真は読者のひじきの煮物さん@hijiki5の投稿写真です。↓ここから投稿者の文章です)

九月の連休、フィールドワークも兼ねて滋賀県を日帰りで旅してきました。
目的地は滋賀県高島市の大溝城、最寄り駅はJR湖西線の近江高島駅です。
私は専門(という程でもないですが)が戦国時代の近江なのですが、様々な事情から「高島郡」の歴史にハマっています。元々小学生の頃に高島郡の伝統的生活「かばた」を見て目を輝かせていたので、深層心理が繋いでくれたのかもしれません。

写真は左側(南)が大溝陣屋跡地、右側(北)が職人町と呼ばれた町場になります。江戸時代に津から分部氏が入り、城から陣屋になりました。(ちなみに私も津で暮らした経験があるので、その縁もあるかもしれません)

古来高島郡には京都と福井(若狭・越前)を繋ぐ街道が通り、江戸時代になると街道(西近江路)から分かれた道が城下の各町場、そして陣屋に繋がっています。私が写真を撮影したちょうど左横には「総門」と、文字通りの大溝陣屋の出入り口があるのです。良く見ると水路が見えますが、これが商人地と武家地を隔てる堀の名残かもしれません。

現在大溝陣屋の総門は観光案内所となっており、近江高島駅に到着した私は真っ先に向かい様々情報を蒐集しました。
三十分ほど滞在し外に出ると、丁度良く湖西線の主役である特急サンダーバード号が高速で通過していきました。撮影時間などから計算したところ京都駅を11時10分に発車した敦賀行きサンダーバード17号と思われます。
京都からたったの二十数分、そしてここから三十分ほど湖西線を爆走し、敦賀には12時03分に到着するようです。

戦国時代の記録を読むと京都から敦賀まで大凡二日を要したそうです。(これは徒歩なのか舟を使っているのかはわかりませんが)
それを考えると京都から敦賀が特急電車で一時間弱というのは、素晴らしく早い。特急電車は近江高島を通過しますが、それでも新快速で40分程度。良い時代です。

さて当日の天気は雨上がりで、まだ少しの風とちょっとの雨粒が舞っており、防水システムでは無いカメラとレンズを持つ者には少しヒヤヒヤしました。そうしたところで防水システムなら安心なのでしょうね。

今回撮って出しでもそこそこ良かったのですが、アートフィルターのブリーチバイパス1を使ってみました。
この色は今までどのように使うか、少々戸惑う部分があったのですが、雨上がりの微妙な曇り空、そして江戸時代以来の趣ある景観にはマッチしたと思います。

機材 E-P7+25mmF1.8

———-(ここからせろりんのコメントです)———-

全体的に銀色っぽく撮ることで静謐な街を表現しつつ、爆走していく特急を中心に据えて静と動、新と旧のコントラスを表現した良い写真ですね~。周辺部はモノクロ写真かなと思うくらいローコントラストな写真ですけど、ど真ん中に主題の青い電車をちら見せすることで奥行き感を出しています。江戸時代にタイムスリップしてしまったかのような画面でありながら、よく見ると最新のものがいろいろと写っているギャップが素敵です。滋賀にはこんな美しいところがあるんですね~。

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